○便秘・下痢


現代では、食生活の乱れなどによる生活習慣が形成されているところに、生命状態の変化が加わって便秘・下痢が発症することがあります。つまり暴飲暴食やアルコール・コーヒー・お茶類の飲みすぎ、冷飲食から起こる場合が散見されます。治療と併行してぜひ養生も・・・

T便秘
A分類
@生命力維持に必要な潤滑油枯渇(それに伴う虚熱の発生)よる便秘・・・欧米化された食物を多食すると、血分(生命力維持に必要な潤滑油)を枯渇しやすく、便秘が起こやすくなります。また、熱が発生しすぎる体質の人も大腸に熱が発生しやすく、このタイプの便秘が起こりやすくなります。
Aストレスによる便秘・・・ストレスにより気の通りが悪くなると、腸の通りも悪くなり、便秘が起こります。また、運動不足によっても気の動きが悪くなり、便秘が起こります。
B胃腸虚弱による便秘・・・月経過多や不正出血などにより、血液排泄過多のために、胃腸の力が弱まり、運搬作用も低下し便秘が起こります。
C陽虚(温める機能低下)による便秘・・・生殖機能=生命力の減退がおこり、腸を温ためる機能が低下し排便困難になります。冷えすぎると腸も固まって、動かなくなります。

B主な病症
A胃腸虚弱による便秘
(病態)
胃腸の消化吸収→気血を生産する・・・の機能が下がるのがこのタイプです。そのために胃腸機能が低下すると便秘になります。このタイプでは発汗過多・浅い呼吸などの症状や、全身倦怠感、頭がくらくらする、湿気を嫌うなどの症状を伴いやすくなります。また、月経過多などにより、生命力維持に必要な潤滑油が不足しても動きが悪くなり、便秘が起こります。さらに血の消耗が激しいと、心拍動の亢進、くらくら、顔色蒼白などの症状を伴いやすくなります。
(症状・所見)
@主な症状
a気虚・・・大便は硬または軟
b血分の不足・・・便は硬く兎糞状(コロコロしていて硬い)
A舌や脈の状態
a気虚・・・舌の色は淡く、舌の上の付着物は薄く、脈は力がない
b血分の不足・・・舌の色は淡く、脈は細い
B随伴症状
a気の量の低下・・・排便時に呼吸が浅くなる、顔面蒼白、四肢倦怠、易疲労
b血分の不足・・顔色蒼白、動悸、立ちくらみ
(治療方針)
胃腸の機能を向上させ、回復を図ります。主として胃腸関係の経穴を取り、さらに背部を取穴します。
(鍼灸施術に使うツボ)
○天枢(てんすう)・・・おへその指3本分外側に取ります(左右2箇所)
○大腸愈(だいちょうゆ)・・・腰の直上で、背骨の外側指2本分に取ります
○脾愈・・・肩甲骨一番下と腰骨の中間で、背骨の外側指2本分の所(左右2箇所)に取ります
○三陰交・・・内くるぶしの上、指3本分の場所、向うずねの骨際に取ります

B)生命力維持に必要な潤滑油枯渇(それに伴う虚熱の発生)よる便秘
(病態)
体質や食生活の欧米化、野菜不足などの原因により、生命維持に必要な潤滑油が不足し、大腸に余計な熱が発生すると便秘が起こります。口が苦かったり、口臭、赤ら顔、動悸が起こりやすくなります。
(症状・所見)
@主な症状・・・イキまないと排出されない
A舌の性状、手首の脈・・・舌の色は紅い、舌の上の付着物は黄色で乾いている、脈は滑り力がある
B伴って現れる症状・・お腹が張る、赤ら顔、口臭がある、動悸、口が苦い
(治療方針)
大腸の熱を逃します。主として胃の経穴を取穴し、鍼にて寫法を施します。
(鍼灸施術に使うツボ)
○天枢(てんすう)・・・おへその指3本分外側に取ります(左右2箇所)
○内庭(ないてい)・・・足の甲にあり、第2指と第3指の間、指の生え際に取ります
○合谷(ごうこく)・・・親指の付け根の人差し指側に取ります

U下痢
A分類
@不必要な水分停滞によるもの・・・不必要な水分が停滞すると胃腸に影響が及び、運搬機能が失調し発症します。これに冷えが絡むと冷えと水分停滞による下痢となります。
A偏食によるもの・・・暴飲暴食、脂肪やたんぱく質の摂りすぎ、冷飲食過多になると胃腸を損傷し、そのために腸を侵すと下ります。
Bストレスによるもの・・・ストレスにより胃腸に影響すると、運搬機能が低下して発症します。
C生命力低下によるもの・・・更年期になると子宮の生殖能力が低下して、胃腸をうまく温められなくなり、発症します。

B主な病証
A)生命力低下による下痢
(病態)
生命力が低下することに伴い、生命力が減退して胃腸を温めることができないと運搬機能が低下します。人によっては夜明け時に慢性に発症するという特徴があります。このタイプにはしくしくとした痛みが長く続くという状態を伴ないます。
(症状・所見)
@主な症状・・・夜明け頃に下痢する、しくしくとした痛みが続く
A舌の性状、手首の脈・・・舌の色は淡く、舌の上の付着物は白い、脈は沈んでいて細い
B伴って現れる症状・・・腹部、腰、膝の冷え、だるさ
(治療方針)
温める機能を改善し、胃腸の運搬機能の向上を図ります。主として胃腸系統・腎系統のツボを取穴します
**(鍼灸施術に使うツボ)
○天枢(てんすう)・・・おへその指3本分外側に取ります(左右2箇所)
○脾愈・・・肩甲骨一番下と腰骨の中間で、背骨の外側指2本分の所(左右2箇所)に取ります
○腎愈(腰の10センチくらい上、背骨の外側指2本分の押すと痛い所に取ります)
○中かん・・・おへそと胸骨一番したの中間で、胃の真上に取ります。
B)不必要な水分停滞による下痢
(病態)
暴飲暴食、偏食、アルコールの飲みすぎなどにより不必要な水分が腸にたまって排出されないと、運搬機能が失調します。水分停滞が強いほど痛みは激しくなります。ただし排便しても排泄しきれない場合は、排便後もくすぶっています。
(症状・所見)
@主な症状・・・絶対に我慢できない便意、激しい腹痛、排便もくすぶる、便やおならの悪臭
A舌の性状、手首の脈・・・舌の上の付着物は黄、脈は速い
B伴って現れる症状・・・口が渇、小便の量が少ない
(治療方針)
余計な水分や熱を追い出し、胃腸の機能回復を促します
(鍼灸施術に使うツボ)
○天枢(てんすう)・・・おへその指3本分外側に取ります(左右2箇所)
○合谷(ごうこく)・・・親指の付け根の人差し指側に取ります
○陰陵泉(いんりょうせん)・・・膝内側の下、すねの骨に続く骨ぎわで凹んだ所に取ります。

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